Excel(エクセル)で、三角関数を使ってグラフ化したいと思ったことはないですか。
今回は、三角関数(サイン、コサイン、タンジェント)を計算して、グラフを作成する方法を紹介します。
また、計算に使用する角度は、度単位かラジアン単位で表示する必要があるので、その取り扱う方法についても解説します。
【基本編】角度を表す2つの関数
Excelで角度を入力するときは、度単位(例:60°)かラジアン単位(例:π[rad])のどちらかで入力する必要があります。
角度の度単位は、円周を360等分した弧の中心に対する角度を表す単位です。そのため、円一周の角度は360°です。
一方、ラジアン単位は、国際単位系(SI)における角度の単位で、円周率(π)を用いて定義されます。πは3.141592654・・・です。
ラジアン(rad)と度(°)の関係式は、以下の通りで、π[rad]は180[°]です。
180[°]=π[rad]
360[°]=2π[rad]
円周率π =3.141592654・・・・
また、円周率を求めるPI関数(パイ関数)があります。
セルに「=PI()」と入力すると円周率を求めることができます。
度単位とラジアン単位をイラストで表すと、以下のようになります。角度について学習したい場合は、以下のリンク記事を参考にしてください。
参照先:ラジアンとは?弧度法とは?定義や角度変換をわかりやすく解説
RADIANS関数:ラジアン単位に変換する
RADIANS関数は、度単位の角度をラジアン単位に変換する場合に使用します。
RADIANS関数の読み方は、「ラジアンズ関数」です。
この後に紹介するサイン、コサイン、タンジェントを求めるSIN関数、COS関数、TAN関数は、ラジアン単位で使用する必要があります。
RADIANS関数の書式と引数は以下のとおりです。
=RADIANS(角度)
それでは、実際にRADIANS関数を使用して、度単位をラジアン単位に変換してみましょう。
下のスクリーンショットのように、度単位のセルに、RADIANS関数を挿入します。
そうすると、角度60[°]は、1.04719[rad]に変換されました。
RADIANS関数を下のセルにもコピペすれば、すべてのセルをラジアン単位に変換できます。また、180[°]は3.141592[rad]となり、円周率と一致していることも確認できます。
DEGREES関数:度単位に変換する
DEGREES関数は、ラジアン単位の角度を度単位に変換する場合に使用します。
DEGREES関数の読み方は、「ディグリーズ関数」です。
上記で紹介したRADIANS関数とセットで覚えておきましょう。
DEGREES関数の書式と引数は以下のとおりです。
=DEGREES(角度)
それでは、実際にDEGREES関数を使用して、ラジアン単位を度単位に変換してみましょう。
下のスクリーンショットのように、ラジアン単位の数値セルに、DEGREES関数を挿入します。
そうすると、1.04719[rad]は、角度60[°]に変換されました。
DEGREES関数を下のセルにもコピペすれば、すべてのセルを度単位に変換できます。また、円周率3.141592[rad]は180[°]はとなり、正しく変換されていることを確認できます。
SIN関数:サインを計算する方法
サイン(正弦)(sine)とは、三角比の一種で、直角三角形において角と対向する辺の長さの比を指します。
直角三角形で鋭角を θ としたとき、次の計算式で求めることができます。
サイン(正弦)を計算するときは、SIN関数を使用します。
SIN関数の読み方は、「サイン関数」です。
=SIN(角度)
角度は、ラジアン単位で指定する必要があります。
度単位からサインを求めるのであれば、SIN関数の引数にRADIANS関数を挿入します。(例:=SIN(RADIANS(B3))
それでは実際にSIN関数を使用してみましょう。
角度が入力されたセルの横に、以下のSIN関数を挿入します。SIN関数の中にRADIANS関数を挿入して、角度をラジアン単位に変換します。
=SIN(RADIANS(B3))
下のセルにもSIN関数をコピペすれば、指定した角度のサイン(正弦)を取得するすることができます。
COS関数:コサインを計算する方法
コサイン(余弦)(cosine)とは、三角比の一種で、直角三角形の斜辺と底辺の比を指します。
直角三角形で鋭角を θ としたとき、次の計算式で求めることができます。
コサイン(余弦)を計算するときは、COS関数を使用します。
COS関数の読み方は、「コサイン関数」です。
=COS(角度)
角度は、ラジアン単位で指定する必要があります。
度単位からサインを求めるのであれば、COS関数の引数にRADIANS関数を挿入します。(例:=COS(RADIANS(B3))
それでは実際にCOS関数を使用してみましょう。
角度が入力されたセルの横に、以下のCOS関数を挿入します。COS関数の中にRADIANS関数を挿入して、角度をラジアン単位に変換します。
=COS(RADIANS(B3))
下のセルにもCOS関数をコピペすれば、指定した角度のコサイン(余弦)を取得するすることができます。
TAN関数:タンジェントを計算する方法
タンジェント(正接)(tangent))とは、三角比の一種で、直角三角形において底辺に対する対辺の比を意味します。
直角三角形で鋭角を θ としたとき、次の計算式で求めることができます。
タンジェント(正接)を計算するときは、TAN関数を使用します。
TAN関数の読み方は、「タンジェント関数」です。
=TAN(角度)
角度は、ラジアン単位で指定する必要があります。
度単位からタンジェントを求めるのであれば、TAN関数の引数にRADIANS関数を挿入します。(例:=TAN(RADIANS(B3))
それでは実際にTAN関数を使用してみましょう。
角度が入力されたセルの横に、以下のTAN関数を挿入します。TAN関数の中にRADIANS関数を挿入して、角度をラジアン単位に変換します。
=TAN(RADIANS(B3))
下のセルにもTAN関数をコピペすれば、指定した角度のタンジェント(正接)を取得するすることができます。
ただし、-90°、90°、270°は定義せずに、計算から除外します。
サイン、コサイン、タンジェントをグラフ化する方法
上で紹介したサイン、コサイン、タンジェントを求める方法を利用して、エクセルで三角関数をグラフ化する方法を紹介します。
三角関数/手順1:元データを準備
まずは、三角関数をグラフ化するために、元データを作成します。
SIN 関数、 COS 関数、 TAN 関数を使って、角度からサイン、コサイン、タンジェントを求めます。ただし -90° 、 90° 、 270° のタンジェントの値が空白にしてください。
角度は、-90°から30°刻みで360°まで作成します。
三角関数/手順2:散布図を挿入する
元データの任意のセルを選択し(図②)、「挿入」タブの「散布図」コマンドの中の「散布図(平滑線)」(図③)をクリックしてください。
そうすると、y = sinθ 、 y = cosθ 、 y = tanθ のグラフが表示されます。
三角関数/手順3:横軸を調整する
挿入した三角関数のグラフの横軸がずれているので調整します。
横軸をダブルクリックしてください。
「軸の書式設定」画面が表示されるので、「軸のオプション」タブから「境界値」の最小値を「-90」、最大値を「360」、単位(主)を「30」に設定します。
三角関数/手順4:グラフ化の完成
グラフの横軸の目盛の変更が完了すると、以下のスクリーンショットのようになり、サイン、コサイン、タンジェントのグラフは完成です。
グラフのタイトルや色など、他の要素を調整したい場合は、以下の棒グラフの作り方の記事を参考にしてください。