【エクセル】在庫管理表を作成する方法。自動で発注が必要なタイミングを判定

エクセルで在庫管理表を作成して自動で発注を判定する方法

Excel(エクセル)で商品や棚卸資産などの在庫を管理したいと思う方は多いと思います。

エクセルで在庫管理する場合、在庫切れを防ぐために、発注するタイミングも把握できれば便利ですよね?

例えば、「在庫20個」「毎日平均5個使用」「仕入に2日かかる」という条件で、発注が必要かどうかを判定する、といったツールです。

難しく思うかもしれませんが、有料・無料のテンプレートやアプリを使わなくても、在庫管理表はだれでも簡単に作成することができます。

今回の記事では、『自動で発注時点が把握できる在庫管理表の作成方法』を紹介します。

エクセルの在庫管理表の完成イメージ

今回紹介するエクセルの在庫管理表の完成イメージは以下となります。

エクセルの在庫管理表(完成イメージ)
エクセルの在庫管理表(完成イメージ)

右から2列目の「発注の要・不要」列の値が「1」であれば「発注が必要」、「0」であれば「発注は不要」、「注意」であれば「発注する場合は注意」というフラグが自動で表示されるように、計算式を挿入します。

また、発注忘れが発生しないよう、発注フラグ(1,0,注意)に応じて、セルに色が自動で付くようにフォーマットを作成します。

在庫管理表の4つの特徴
在庫管理表の4つの特徴

この在庫管理ツールの各列の入力内容は以下のとおりです。

在庫管理表の各列

品目コード・品目名 ⇒ 棚卸資産番号や在庫の名称

単価 ⇒ 在庫の単価を入力  ※入力は任意

在庫数(個) ⇒ 発注時点の在庫数

調達期間(日) ⇒  発注してから何日後に仕入れることができるか

1日当たり使用数(個) ⇒  1日あたり何個の在庫を消費するか

注文ロット(個) ⇒ 1発注で何個仕入れることができるか

調達前の在庫数(個) ⇒ 購入直前にいくつの在庫数になっているか

発注点(個) ⇒ 在庫の下限値。在庫を最低いくつ持っていたいか

発注の要・不要 ⇒ 発注必要は「1」、発注不要は「0」、注意は「注意」

備考 ⇒ 注意事項やメモ

エクセルの在庫管理表を作成する方法

それでは、上記で紹介した在庫管理表を作成する手順(1~8)を紹介します。

長く感じるかもしれませんが、実際は簡単な作業が多いです。IF(S)関数や条件付き書式の設定だけで誰でも簡単に作成できます。

在庫管理/手順1.フォーマットを作成

まずは、以下のように在庫管理表のフォーマットを作成します。

在庫管理表のフォーマットを作成
在庫管理表のフォーマットを作成

見出しの左からの並び順は以下のとおりです。

列項目(左から)

品目コード、品目名、単価、在庫数(個)、調達期間(日)、1日当たり使用数(個)、注文ロット(個)、調達前の在庫数(個)、発注点(個)、発注の要・不要、備考 

在庫管理/手順2.在庫数、調達期間などの値を入力

「品目コード」、「品目名」、「単価」、「在庫数(個)」、「調達期間(日)」、「1日当たり使用数(個)」、「注文ロット(個)」列に値を入力します。

棚卸資産を管理しているデータからVLOOKUP関数などを使用して入力するとスムーズに転記できます。

在庫、品目情報、発注リードタイムなどを入力
在庫、品目情報、発注リードタイムなどを入力

「調達期間(日)」は発注から納入までにかかる期間のことで、「注文ロット(個)」は1発注あたりの納入数です。

在庫管理/手順3.「調達前の在庫数」を計算

続いて、「調達前の在庫数」列の値を計算します。

「調達前の在庫数」は、「もしこの時点で発注しなかった場合、調達期間後はいくつの在庫数になっているか」の予想数です。

つまり、発注を1日飛ばしても問題ないかの判断となる数値を算出します。

そのため、「(在庫数)‐(1日当たりの使用数)×(調達期間)」となる以下の数式を挿入します。

=E3-F3*G3

調達前の在庫数を算出する
調達前の在庫数を算出する

在庫管理/手順4.発注点(発注最低ライン)を入力

続いて、「発注点」列の値を入力します。

発注点」は、「在庫数の下限値」のことで、「この在庫数は絶対に下回ってほしくない数量」のことです。

在庫管理表に発注点を入力
在庫管理表に発注点を入力

この数値を大きくしすぎると発注タイミングが早くなり、小さくしすぎると在庫切れを起こしやすくなります。

過去の在庫推移などを参考に適正な発注点を検討してください。

在庫管理/手順5.発注を自動で判定

発注の要・不要」列に数式をIFS関数を挿入します。

IFS関数は、IF関数を複数の条件で利用できるようになった新関数です。

IFS関数の結果が「1」であれば「発注が必要」、「0」であれば「発注は不要」、「注意」であれば「発注する場合は注意」となるよう、構文を作ります。

=IFS(L3<>"","注意",I3<=J3,1,"TRUE",0)

IFS関数で発注が必要か判定
IFS関数で発注が必要か判定

IFS関数の構文と3つの条件の意味は、以下のとおりです。

IFS関数の構文

L3<>"","注意" ⇒ 第1条件「L3セル(備考欄)が空白以外であれば、”注意”を表示」

I3<=J3,1 ⇒ 第2条件「J3セル(発注点)の値がI3セル(調達前の在庫数)以上であれば、”1”を表示」

"TRUE",0 ⇒ 第3条件「それ以外であれば、”0”を表示」

もし、「注意」という文字を表示させたくない場合は、以下のIF関数を挿入してください。

=IF(I3<=J3,1,0)

IFS関数の使い方を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

在庫管理/手順6.備考欄を入力

次に、「備考欄」列に発注に関するメモなどを入力します。

L列に文字を入力すると、手順5で挿入したIFS関数によって、K列には「注意」という文字が自動で表示されます。

在庫管理表の備考欄に発注に関する情報を入力
在庫管理表の備考欄に発注に関する情報を入力

もし、発注以外の情報を入力し記録したい場合は、右隣りの列に2行目の「備考欄」列を作成してください。

在庫管理/手順7.発注が必要な品目に自動で色付け

「発注の要・不要」列の文字が「1」(発注必要)であれば、管理表の行全体に自動で色が付く設定を行います。

手順1.「条件付き書式」の「新しいルール」を選択

まずは、予定表のセル範囲を左上から右下に向かってドラッグで選択します。必ず左上から選択してください。

選択した状態で、「ホーム」タブ⇒「条件付き書式」から、「新しいルール」をクリックします。

在庫管理表に新しいルールを設定
在庫管理表に新しいルールを設定

手順2.「ルールの種類」を選択

「ルールの種類を選択してください」のメニューの中から、「数式を使用して、書式設定するセルを決定」をクリックします。

数式を使用して書式を設定
数式を使用して書式を設定

手順3.数式を入力

「次の数式を満たす場合に値を書式設定」の下の数式入力枠に、K列の値が”1”かを判定するために、以下の数式を挿入します。必ず先頭に絶対参照の$マークを入力してください。

=$K3=1

発注が必要な品目を判定する数式を挿入
発注が必要な品目を判定する数式を挿入

数式を入力したら、色を設定するため「書式」をクリックしてください。

手順4.自動で表示したい色を選択

「セルの書式設定」画面の「塗りつぶし」タブから、塗りつぶしの色を選択します。設定し終えたら、「OK」を押し、「新しいルール設定」画面も「OK」で閉じます。

発注が必要な行に使う色を選択
発注が必要な行に使う色を選択

手順5.色の自動化の完了

下の図のように、K列が”1”の行が自動で色付けされれば、設定は無事完了しています。

発注が必要な品目に自動で色が付く
発注が必要な品目に自動で色が付く

在庫管理/手順8.”注意”に自動で色付け

最後に、「発注の要・不要」列の文字が「注意」であれば、管理表の行全体に手順7とは異なる色を付ける設定を行います。

手順7で紹介した『条件付き書式』の設定を再度実行します。(2回目)

「新しいルール」画面で以下の数式を入力し、好みの色を指定してください。

=$K3=”注意”

条件付き書式の2つ目の数式と色を設定
条件付き書式の2つ目の数式と色を設定

下の図のように、K列が”注意”の行が自動で色付けされれば、設定は無事完了しています。

以上で、エクセルの在庫管理表の作成は完了です。

条件付き書式で2つ目の色が自動で付く
条件付き書式で2つ目の色が自動で付く

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