株を売買している投資家の皆さんはどのように取引の成績(結果)を管理されていますか?
私は主にスイングトレード(2,3日から数週間の短い期間で売買を進めるトレード手法)と長期保有での2パターンで株取引をしています。
株の取引で最も重要な要素は【損切り】ですが、昔はスイングトレードの際、この損切ラインが守れず塩漬けにしてしまうことがよくありました。
塩漬けして損が膨らむと何もかも嫌になるよね・・・・
そんな損切ルールを守れない自分が嫌になり、Excel(エクセル)で投資の実績を管理するようになってからは、損切ラインを少しずつ守れるようになりました。
今回は、株取引初心者向けに、私がエクセルで作成している損切ルールを守るための『株取引の管理表』をご紹介します。
今回紹介する株取引管理表の完成イメージ
損しているのに株を塩漬けしてしまう3つの理由
Excelでの株取引管理表を紹介する前に、損切できない理由を改めて振り返ってみましょう。
皆さんも薄々理解していると思いますが、損切できないのは下の3つの心理作用が働いているためです。
- 損失回避性
- 感応度遁減性(かんのうどていげんせい)
- 参照点依存性
この3つの心理作用が働くと、「いつかは株価が戻ってきてくれるだろう」と希望的観測に囚われて損切りができずに損失額が膨らむ、という悪い流れに陥ってしまいます。
この3つの心理を具体的な例を使って少しご紹介します。
損切ラインを越えても、相場全体が悪かったからラインを越えただけ、って勝手に言い訳して塩漬けしてました・・・
損失回避性
「損失回避性」は、手に入れる嬉しさよりも失う悲しみの方が2倍強く感じるために損失を回避しようという心理です。
そのため、少しでも損失が出ている場面で自ら損を決定したり決断することをためらい、先延ばしにしようとします。
例えば、嬉しさの場合、下のAとBの選択肢では、皆さんどちらを選択しますか。
A.確実に1万円をもらえる
B.80%の確率で当たりを引けば2万円、20%の確率ではずれを引けば5千円をもらえる
芸能人のクイズ大会や賞金ゲームなどをイメージすると分かりやすいかもしれませんが、Bを選択する人が多いと思います。
今後は逆に、失う悲しみの場合で考えると、下のCとDの選択肢では、皆さんどちらを選択しますか。
C.何もしないで1万円支払う
D.ジャンケンで買ったら支払い免除、負けたら2万円を支払う。
この場合は二分の一の可能性にかけて、Dを選ぶ人が多くなります。
このように、損失が倍にもなるにもかかわらず、なるべく損をしたくないという感情で物事を判断するのが「損失回避性」です。
感応度遁減性(かんのうどていげんせい)
「感応度遁減性」とは、利益や損失が大きくなっても、価値観によって喜びや悲しみの感覚が鈍ることです。
この心理性のために、株式投資で含み損が発生しても初めの頃は落ち込みますが、含み損が膨らんでも落ち込む気持ちが少しずつ鈍くなってしまいます。
例えば、下のAとBの選択肢では、皆さんどちらが皆さんは悲しみが大きいですか。
A.冷蔵庫が壊れて、突然10万円の出費が出て落ち込む。
B .500万円の新車を購入し、10万円のカーナビのオプションを付ける。
両方とも10万円の出費ですが、Aの方が悲しさは大きいですよね。
同じ10万円であっても、車の購入500万円の影響で感覚が麻痺してBの方の悲しみは小さくなっています。
株式投資も同じで、大きな投資額に感覚がマヒし、10%の損でも15%の損でも同じような感覚になってきてしまいます。
参照点依存性
「参照点依存性」は、ある地点の数字を基準として、その基準値からの変化で損得を考えることです。
下のAとBの場合、どのような感情になるか想像してみてください。
A.直近の平均株価5,500円の株を購入したら、5,000円に下がった。
B .4,500円で株を購入したら、5,000円に上昇した。
この場合は同じ株価5,000円になったとしても、Aは500円の下落、Bは500円の上昇で状況が異なります。このように、株価が下がることは上がることよりも2倍近くの悲しみが生じます。
どうすれば損切出来るのか?
3つの心理作用が働くことで、気持ちの面で損切が出来づらくなることは理解していただけたかと思います。
ようするに『損切できないのは心理的に当たり前』ということです。
では、どうすれば損切出来るようになるのでしょうか。
それは、
『損切するラインをあらかじめ購入時点で決めておくこと』
です。
そして、機械的に逆指値注文を入れておき、自分の絶対に守るべきルールを徹底することです。
自慢ではありませんが、株を始めたころ、塩漬けを何度もしたことあります。
しかし、一度塩漬けした株価が元の値段に戻って売却できたことはあまりありませんでした。
それは、株価が上昇局面に転じ戻ってきた時に、『このくらいの含み損なら許容範囲内だ』と損切してしまうことが多いからです。
また、運よく元の株価に戻っても2~3年近くは塩漬けすることが多かったです。
それなら初めから損切ラインを切ったタイミングで損切した方が資金の回転の面から見ても有効ですよね。
エクセルを使った株取引の管理表
それでは、エクセルを使った株取引の管理表をご紹介します。
上の図のように、『1シートに1取引』を管理していて、①~⑤の5部で構成されています。
私はこのエクセルを使って、購入した理由や、売買単価&損益、損切ライン、振り返りなどを書き残しています。
下の見出しで①~⑤の各構成を紹介しますが、使えそうな部分のみ利用してもらって、皆さんが使いやすいオリジナルのひな形を検討してくださいね!
①購入時の日足チャート
画面のスクリーンショット機能(『Shift』キー+『Windows』キー+『S』キーの同時押し)を使って、購入時点の証券会社の取引サイトの日足チャートを切り取って貼り付けます。
日足チャートには購入時に自分ルールとして設定した損切ラインも図形(横線)で挿入(上の図では1,700円)します。
目的は、購入時に買い時と判断したチャートを記録しておくことで振り返りの役に立ちます。
➁売却時の日足チャート
構成①と同様に、売却時点の日足チャート画面を、スクリーンショット機能(『Shift』キー+『Windows』キー+『S』キーの同時押し)を使って切り取って貼り付けます。
上の取引は、株価が損切ラインの1,700円を下回ったため売却しています。
③銘柄発掘のきっかけ
購入した銘柄をどのように発掘したか、日足チャートのどの点にメリットを感じて購入したかをチェックします。
この目的は、値ごろ感で適当に株を購入する自分の悪い癖を治すために、あえて面倒な項目を設定しました。
④損切ライン
購入した際に、損切ラインを設定します。購入時に必ず設定し、損切ラインを変更しないことが大切です。
この取引では、株価が直近の底値支持線の1,700円を下回ったら売却する(損切する)とルール付けしています。
⑤振り返り
売却時の株価や損益などを記載し、取引を振り返り(反省)、良かった点や悪かった点などを纏めます。
損切した時ほど失敗を振り返りたくないので書く意欲が失せますが、後々の自分の成長のためだと思って頑張って記録に残すことが重要です。
株取引は損切ラインの設定よりもメンタル面
今回は株取引の際に損切ラインを設定するエクセルの取引管理表を紹介しました。
株取引はメンタル面が一番重要だと日々感じています。取引でついつい熱くなったりやけくそになったりしてしまう方は、億トレーダーのテスタさんのYouTubeやツイッターを参考にすると、メンタルの保ち方のコツを教えてもらえるのでぜひ参考にしてみて下さい。
https://www.youtube.com/channel/UCF8tCxRN-IKD3kYcKY-V36Q/community
億トレーダーテスタ[切り抜き]さんのYouTubeチャンネル